ODAGIRIENNE bis

オダギリジョーに魅せられて

ODAGIRIENNE(オダギリエンヌ)とはフランス語で「オダギリ専門家、研究家、ファンの女性」という意味である。フランス語の読み方の規則に従えば、このスペルだと実は「オダジリエンヌ」という発音になってしまい、オダギリエンヌと読ませるためには、ODAGUIRIENNEにしないといけないのだが、そのへんはODAGIRIのスペルを崩したくないということで勘弁してもらおう。

『ある船頭の話』アンタルヤ国際映画祭で最優秀作品賞!

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オダギリの長編作品が完成して公開されたことでファンの夢が叶ったと思っていたけれど、夢にはまだ続きがあった!トルコのアンタルヤ国際映画祭で最優秀作品賞!本当に素晴らしい!心からお祝いを申し上げます。
賞などをもらわなくても、オダギリのものづくりに対する情熱に変わりはないはずだが、きっとオダギリは作品づくりに力を貸してくれたスタッフ・キャスト・制作サイドの人たちのために、この受賞を本当に喜んでいることだろう。ファンのために「待たせたな」なんてほんのちょっとでも思ってくれたかな?(笑)

日本のメディアの反応が遅いのでやきもきしていたが、今日になって続々ニュースで取り上げられている。映画祭続きでお疲れでしょうが、凱旋上映もぜひ!

【Webニュースまとめ】(共同通信の配信の再配信は除いてある)
・オダギリジョー監督作に最優秀賞(共同通信47news)
・オダギリジョー監督作「ある船頭の話」がトルコの映画祭で最優秀賞(映画ナタリー)
・オダジョー監督作品「ある船頭の話」最優秀賞 トルコ・アンタルヤ映画祭(デイリー)
・オダギリ ジョー監督『ある船頭の話』アンタルヤ映画祭 最優秀作品賞受賞(映画情報どっとこむ)
・アンタルヤ映画祭にて『ある船頭の話』が最優秀作品賞受賞!オダギリジョー監督のコメントも紹介(Cinemarche)
・日本映画として初の栄冠!オダギリジョー監督『ある船頭の話』歴史ある第56回アンタルヤ国際映画祭のコンペ部門で最高賞となる最優秀作品賞を受賞!(cinefil)
・Antalya Altın Portakal Film Festivali’nde ödüller sahiplerini buldu(HABER TURK)
「アンタルヤ ゴールデンオレンジ フィルムフェスティバル アワード」というタイトル
集合写真がかなり大きくなる。
・オダギリジョー、初長編監督作が最優秀作品賞を受賞(サンスポ)
・オダギリジョー監督作に最優秀賞 トルコ・アンタルヤ映画祭(東京新聞)

「時効警察・復活スペシャル」感想

復活スペシャルの始まる前の番組「今夜の日曜プライム」では、復活スペシャルと「時効警察はじめました」第1話の予告編にのせて、カウントダウンが5秒前から始まった。デジタル放送だと少しタイムラグがあるので、我が家の録画では、日曜プライムでは2秒前まで入っていて、復活スペシャルには3秒前からのカウントダウンが含まれていた。本当の時刻では、日曜プライムで0までカウントダウンされたのかな?こんな仕掛けがあるなんて、やっぱり時効警察だ!と嬉しくなる。鳩時計健在(ただし9:00)、由紀さおりさんのナレーションも変わらず自在。本当に12年ぶりに帰って来てくれたのだ。

このところの関心事は『ある船頭の話』一色だったから、時効警察の世界にすんなり入って行けるかどうか心配だったが杞憂に終わった。「時効警察はじめました 零号」とタイトルがつけられた復活スペシャル。このドラマはやっぱりオダギリと麻生さんというコンビの存在がどれだけ大きいか、あらためて納得させられる。最初のシーズンで、コメディエンヌのキャスティングについて、麻生さん推しだったオダギリの慧眼たるや!

ビジュアルの変わらなさもさることながら、12年前のテンションのまま(むしろテンションが上がっている?)演じる麻生さんは本当に凄い!霧山が帰って来たことに狂喜した三日月なので余計にテンションが高いのかもしれないが、「時効警察」の最初のシーズンでは、時効管理課の面々がとにかくすっとぼけていて、三日月はむしろ普通の女子だったのが、だんだん時効色に染まって行って残念な感じになり、今やもっとも「米」のように輝いている存在に見える。

12年経ってあらためて感じるのは、脚本、美術、演技を含めて、いかにこのドラマが丁寧に作られているかということだ。三木監督は今でもコネタを思いつくとノートに書き留めているのだろうか。さほど視野の広くない私は、ネタだろうと思ってもネタ元がわからない場合もしばしばだが、それでも面白いのは俳優さんの力量のおかげだろう。又来康知が又来の息子だとわかった霧山に又来が言う「そうだよ」の口調、どこかで聞いた記憶があるのだが思い出せない。

複数の人が映っているシーンで、自分がメインでないときも、まったく俳優さんたちは手を抜かず、傑作な身動きを続けている。オダギリと麻生さんのやり取りの場面など、片方だけ見ているのがもったいなくて、つい録画でもう片方を注視するということをやりたくなる。だから、今回の2時間は長かった!これを反芻するのは大変だ。

時間がたっぷりある分、時効事件の扱いにもかなり比重が置かれている。最後のほうなどシリアスドラマと思うほどだ。趣味で捜査にあたる霧山は以前より自信たっぷり度が増したように思える。FBIでのキャリアで培われたものだろうか。誰にも言いませんよカードを渡さないのはどうして?と思っていたら、後のオチがあった。浦島の伏線を回収するためだったのか!

新メンバーで風当たりが強くなるのは気の毒だが、彩雲だけまだこちらもどう解釈すべきかよくわからない。残念な三日月に対してサムい彩雲という位置だろうか。それでもドラマ内では彩雲をいびるのは十文字だけで、時効管理課がすんなり受け入れていることからすると、マスコット的位置に置こうとしているのか。刑事課が時効捜査に首を突っ込んでくると、「誰にも言いませんよ」に抵触するのではないかと気になる。

(2019.9.29放送)

『ある船頭の話』上映後舞台挨拶@キノシネマみなとみらい(ネタバレあり)

登壇者:オダギリジョー監督

昨日2度目の舞台挨拶立川は時間的に無理なので、武蔵野館のあと、横浜みなとみらいの15:40分の回上映後の舞台挨拶に行った。ここは初めての劇場だが、音響と映像の階調ともに素晴らしいところで、冒頭から画が違う!と大感激。新宿は地の利がよいけれど、立川やみなとみらいが近い方は、ぜひともキノシネマをお勧めしたい。

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今回のMCはキノフィルムズのアカバネさん。武蔵野館同様、Q & Aをたっぷり。最初のオダギリの挨拶は「2日ほど前に舌を噛みまして、お聞きづらいことになるかと思いますが、よろしくお願いします」だったが、質問が白熱してくると一生懸命喋ってくれて、聞きづらいことなど何もなかった。

Q:ポスターのイメージが黒と赤です。自分は映画を観てあまり黒と赤が浮かばなかったのですが、どうしてあの色になったのですか?
A:ぶっちゃけ、僕が好きなポスターに『欲望』(1967年ミケランジェロ・アントニオーニ監督)というのがあって、真っ赤なバックに白黒の写真で、白と赤より、黒と赤がカッコいい。普通の日本映画ってこんなポスターは許されないですよ、12人のキャストをバーンと並べて宣伝する、そういうポスターが多い中で、よくこのポスターを(宣伝部が)選んでくれたと。一緒に戦ってくれたというほど大袈裟じゃないですが、僕の我が儘を聞いてくれたということですね。(アカバネさん、大きく頷く)

Q:脚本の段階で自分自身が演じようとは思わなかったのですか?
A:あ、思いました、思いました。(この経緯は様々なメディアで語られているので割愛)

Q:クリストファー・ドイルさんが監督から指示されないシーンを撮っていて、それがよかったので使ったところもあるとお聞きしましたが、具体的なシーンは教えていただけるでしょうか?当ててみてもよいですか?
A:(質問者が挙げた2,3のシーンについて)ハズレです(笑)景色をよく撮ってくれていました。

Q:この劇場は音響がよくて、コントラバスが印象的ですが、楽器はどのように決めたのですか?
A:音楽の構成はほぼ100%ティグラン・ハマシアンで、僕は楽器について何も意見を出しませんでした。コントラバスはティグランの親友のマツナガさんです。

Q:熊本の船頭さんを取材なさったことについて。
A:インタビューの中で焼き味噌の話を聞いたんです。見たことも食べたこともないものだったので、メモっておきました。美術チームが調べてくれたら、ああいうものらしいと。焼き味噌は美術チームに丸投げでした。

Q:(物語の核心に迫る質問。オダギリはあっさりと答えてくれたが、さすがにこれはオフレコだろう)
A:自由に受け取ってもらいたいので、あまり外に(SNSなどに)出さないでください。

Q:なぜ脚本で自分を想定していたのが、柄本さんが演じることになったのですか?
A:まず自分が無理だよな、監督するだけで精一杯だろうしと思いました。柄本さんにした一番の理由は、すごくいい役者なんですが、一般的にそこまでいい役者だと思われてないんじゃないですか。いい脇役くらいにしか。すごい役者なんですが、テレビだと柄本さんの使い方が雑。映画の現場でドキッとするような演技を見せてくれる、それだけの力がある人です。(私もこの答えには深く賛同)

Q:題字が西川美和さんですが。
A:『さくらな人たち』で題字を初めて西川さんに書いてもらって、字のうまさを知っていたので、今回もお願いしたいと思って。西川さん大好きで尊敬しています。西川さんもすごく今回の作品を応援してくれていて、パンフに素敵なコメントを書いてくれました。お互いにビジネスに巻き込まれないようにしているタイプ。あの人が頑張っているからこっちも頑張れるという関係。

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こちらもオフレコにすべきやり取りが多かったが、オダギリも楽しそうで素晴らしい時間だった。そして最後の質問の答えが長引いて時間が足りなくなったので、オダギリが答えている間に15秒の撮影タイムが許された。座席が後ろの端っこだったので、武蔵野館ほどちゃんと写せなかったが満足。いろいろ気を遣ってくださったアカバネさん、ありがとうございました!


(2019.9.21 キノシネマみなとみらい スクリーン3にて)

『ある船頭の話』上映後舞台挨拶@新宿武蔵野館(ネタバレあり)

登壇者:オダギリジョー監督

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昨日は初の上映後の舞台挨拶とあって、興味深い話が聞けるのではないかと楽しみにしていた。上映後時間をおかずオダギリ登場。ヘアスタイルがきっちり決まり、朝にもかかわらず爽やかな表情に見えたが第一声は「おはようございます。オダギリです。今日はありがとうございます。実は二日前くらいに舌を噛みまして、そこが腫れて口内炎になって喋りにくいんです。喋りにくいままやります」とのこと!三連続の舞台挨拶なのに気の毒に!

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MCは宣伝担当の山本さん。慣れていないということで、「もう(Q & Aを)始めちゃいましょうか?」とか冒頭オダギリとグダグダなやり取りで大笑い。Q & Aでは常にそうだが、ちゃんと質問者の顔を真っ直ぐ見て真摯に答えてくれる。実は私も初めて質問ができたので大感激。自分が質問するとメモが取れないので、これまで機会があってもなかなか手を挙げられないでいた。観客との一問一答は以下のような感じ。オフレコにしてほしいという内容も多かったので、差し障りのなさそうな部分を。

Q:川島鈴遥さんの印象がとても強かったが、あの役の選んだ理由は?
A:オーディションで結構いろんな人に来ていただいて。僕も何回も受けたことありますが、普通のオーデイションて、台詞を喋ったりしてもらうんですが、僕は他の監督さんたちとたぶん視線が違うんでしょうね。台詞を喋ってもらうのはずっと後で、最初は自分のことを説明してもらう。そうするとタイプが見えてくるんです。そうやって幅の豊かさを測るんです。そうでないと芝居が面白くない。(その後のオーディションのやり方はオフレコ)川島さんが一番伸びしろが見えたんです。

Q:霧はどうやって写したのでしょうか。本物を待っていたのか、CGを使ったのか、別の場所のを使ったのか。(3つ目はあやふや)
A:すべてですね。台本上は霧って書いてあっても出ないこともあるし、出ることを期待していなかったのに偶然出たことも。

Q:エンドロールのある方の名前について(書いてよいかわからないので割愛しておく)

Q:亡霊の子役さんはどのような経緯でキャスティングしたのでしょうか?衣裳も印象的でした。
A:(少年の役だが)女の子なんですけれど、あの子も「ふう」のオーディションに来ていた子で、とにかく見た目が面白いと。あの衣裳はワダエミさんのこれまでの作品の写真集を見ていて、これがいいなとなって。一番エミさんがテンション上がって作っていた衣裳ですね。

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Q:細野さんのファンなのですが、細野さんをなぜキャスティングしようと思ったのでしょうか?
A:細野さんは仁平の父という役で、出番は最初とあとの弔いの場面だけで少ないんですが、最初の登場は自分の中でも存在のある役なので、存在感のある方にお願いしたかったんです。あの場面は映画の入り口なのに、普通の役者さんが演じると普通に流れちゃって印象に残らないんですね。それを考えたときに細野さんが一番面白そうだなと思いました。現場では細野さんの声の渋さにびっくりしました。役者だと時代劇っぽい喋り方になるんですが、細野さんは現代っぽい喋り方、それが面白いなと。雨のシーンは二度とやりたくないけれど面白かったと仰ってました。

Q:エンディングシーンは霧幻峽ですね?あの俯瞰のカメラは脚本段階から画をイメージしていてそれに合うロケ地を決めたのですか?
A:そうではなくて、僕はロケハンのときにあそこに行ってなくて、スタッフがあそこで写真を撮っていて、それを見せてもらって、これはいい、エンディングに使えると思って決めました。

Q:カット割りについて(オフレコなので割愛)

最後の挨拶
オダギリ:今日の話は結構グイグイきてて、他で喋っていないことが多く、意外と面白かったんじゃないですか?さっきの話(カット割りの話)意味がわかんない方、申し訳なかったなと思います。(MCから沢山の外国の映画祭にこれから行くがと振られて)エジプトってピラミッドじゃないですか!(笑)そこで暮らしている人が日本の四季をどう思うか、砂漠に住んでいる人が川の景色をどう思うか、そういうことがとても楽しみです。とにかくスタッフ、キャストが苦しみながら作り上げたのを観ていただいて嬉しいです。(次回作は?と聞かれて)次回作は全然!(笑)いくつか構想はあるものの、事務所との話し合いですね(笑)

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最後に15秒間の撮影タイムが観客に与えられた。公開翌日の舞台挨拶ではその時間が設けられなかったそうで、今回もダメだろうと思っていたので余計に嬉しかった。
個人的には「エジプトってピラミッドじゃないですか!」というのが最高に可笑しくて、「岡山ってカッパじゃないですか!」くらい自分の中でウケてしまった。

(2019.9.21 新宿武蔵野館スクリーン1にて)

『ある船頭の話』感想(ネタバレあり)

試写会と公開初日、2回観た段階での感想を書いておこう。オダギリ監督が長編映画を撮るという話を聞いたときに、誰しも『さくらな人たち』や『バナナの皮』、あるいは『帰ってきた時効警察』第8話を思い浮かべただろう。つまりは意欲作ではあるけれども、作家性だけで自由奔放に作った習作というような。ところが名だたるスタッフが集結し、豪華なキャストが揃い、時代設定がどうやら現代ではないとわかってきた時点で、これはちょっと居住まいを正して見守らなければならないという気になってきた。

そして試写会。エンドロールが終わったときに手が痛くなるくらい拍手を送った。すごい!オダギリの俳優デビュー以来積み重ねてきたものと、見聞きしてきたものがすべて糧となり、悲しいくらいに素敵な映画に結実した。ファンとしての思い入れを別にしたとしても、水準を遙かに超えた作品だと間違いなく言える。

舞台となった日本の原風景のような川の景色は確かに美しい。ただし、観光案内の写真などの美しさとは一線を画している。冒頭からクリストファー・ドイルのカメラが写し出す荒々しい岩だらけの川岸、画のトーンをさらに深めるようなティグラン・ハマシアンの音楽。これだけでも、人間の根源に深くかかわった内容だろうと予感させる。

船頭の日常、様々な客を乗せて櫓を漕ぐ。この客が豪華俳優たちであるがゆえに、単調であるはずの日常がやや華やかさを帯びてしまい、ちょっと惜しいなと思った。ここをもっと単調に描いたほうが、後半との対比があざやかになったのではないかと思う。それでも、例えばヴェネツィアの観客は、日本の豪華俳優たちの顔をほとんど知らないだろうから、ほどよい単調さを感じてくれたかもしれない。作るからには、なるべく世界の様々な国の人たちにも観てもらいたいという監督の狙いがそうさせたのだろうか。次に観るときには、あ、永瀬さんだ、浅野さんだなどと思わず、極力単なる乗船客だと思って観ることにしよう。

もっと何も起こらないようなストーリーかと想像していたらとんでもない。不穏なものをはらんだ内容だということがオープニングからすでに示される。この映画はオダギリがかかわった様々な作品へのオマージュ(監督自身が意識しているか否かにはかかわらず)がちりばめられているなと感じるのだが、あのオープニングの椿を見て、私は即座にキム・ギドク監督の『悲夢』のエンディングを思い浮かべた。あまりに結末を予想させてしまうあの椿はなくてもよかったかなあと、やや思う。時代設定に関しては大友克洋監督の『蟲師』を真っ先に思い起こした。おおかたの評判は良くない実写版の『蟲師』だが、私はあの映画が大好きで、時代設定がまず好みにドンピシャだったのだ。ギンコが山の上から遠くの町を眺めるシーンで、電気の灯りが点されていくのを見て「明るいねえ」とポツンと呟くのが、トイチが出来かけの橋を眺めるシーンと重なった。静かな川岸が一瞬華やぐ祭りの日。こういうコントラストは、犬童一心監督の『メゾン・ド・ヒミコ』の大好きなダンスシーンと似た感慨をもたらす。

キャストに関しては、柄本明はやっぱり素晴らしい。特に前半は、台詞らしい台詞はないのだが、トイチならそうだろうという寡黙さを補ってあまりある存在感だ。舟の扱いはもちろん、岩場を歩く様子、釣りをするシーン、食事を用意するシーン、これらが取って付けたふるまいではなく、トイチの日常なのだと思わせる圧倒的な説得力を持っている。謎の女の子については、これが名の通った女優さんでなくて本当に良かったと思えた。彼女のミステリアスな部分がストーリーの肝となるからだ。実際の川島鈴遥はとても小柄で華奢で可愛らしい方だが、スクリーンでは見栄えがすること!ワダエミさんの衣裳に負けない凜としたたたずまいを見せてくれる。私が唯一気に入らなかったのは源三を演じる村上虹郎だ。この俳優さんは、申し訳ないが『緑色音楽』のときからどうも苦手。源三と時代背景とがマッチしない。ひと言でいうと派手すぎる印象なのだ。源三という人物像には、小ずるいところがあるにしても、小さな村の若者というような素朴さが1ミリも感じられない。衣裳や台詞にかかわらず、現代青年にしか見えない。他のキャストは別の人だったとしても、そう作品に影響は与えないだろうが、源三の役は重要だ。かといって、どういう俳優さんだったら良かったのだろうと考えても答は出ないし、無い物ねだりをしても、まあ仕方ないだろう。

好きなシーンは、なんといってもエンディングだ。このあと二人にどんな未来が待ち受けているかなどどうでもよく、トイチよ、いつまでも漕いでゆけ!と祈りたくなる。舟がスクリーンの外に出てしまっても目が離せなかった。他には、しばらく姿を消していた少女が戻ってきたときに、トイチが焼いた魚を差し出すシーンがニクい。ここでも、ああ柄本が素晴らしい!と思った。

まだ一面的な見方しかできていないので、これからも新たな感想が出て来るに違いない。それだけ、噛み応えのある作品ということだ。

(試写会 & 公開初日鑑賞)

『ある船頭の話』初日舞台挨拶いいかげんなレポ

登壇者:柄本明、川島鈴遥、村上虹郎、オダギリジョー

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初日舞台挨拶の回で2度目の鑑賞。映画の感想は一筋縄ではいかないので、またあらためるとして、舞台挨拶のことを書いておく。武蔵野館のチケット発券機の近くでは、意外にも登壇者の方々やスタッフの方々がうろうろしていて、鈴遥さん、虹郎くん、ワダエミさんはかなり近くでお顔を見ることが出来た。タッチの差でオダギリにはすれ違えなかったのが残念。3基のエレベーターの扉は『ある船頭の話』一色。虹郎くんも、エレベーターすごいねとスタッフの方と喋っていた。

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18:30上映の前に舞台挨拶。MCは完成披露試写会のときと同じ奥浜レイラさん。挨拶はオダギリ中心に断片的なメモによる。

◆最初の挨拶。
柄本:ご来場まことにありがとうございます。オダギリ監督は素晴らしい監督です。中身のことを言ってもしょうがないので、楽しんでください。
川島:ワクワクとドキドキです。
村上:とても見栄えのするカッコいい現場でしたが、撮影は過酷で、でも死人も出ずにここに来られてました。
オダギリ:どうも、オダギリです。今日はありがとうございます。何となく早く初日が来ないかなという気持ちと、不安な気持ちの両方がありましたが、今日初日なので開き直るしかないなと思っています。気に入っていただいて、楽しんでいただければと思います。

◆船頭役をやられて、様々なお客さんを乗せていますが、印象に残ったお客さんは?
柄本:これから観るからあまり言わない方がいいんじゃない?古い友人もいれば大先輩もいれば若い友人もいました。(キャストとして名前が挙がっているので大丈夫と言われて)古い友人というのは笹野高史です。仲悪いんですが(笑)現場では仲良くやってます。

◆キャストとの会話について
柄本:とにかく現場が暑いんですよ。喋ると疲れるので極力会話はなかったです。(細野晴臣さんは?と聞かれて)細野さん、素晴らしかったですね。(芸人さんも、と聞かれて)芸人さん、くっきーさんいますね。このあたりはお話ししても大丈夫ですね。

◆ワダエミさんの衣裳について
川島:監督から、今日ワダエミさんがいらしているから、ちゃんとコメントしてと言われました(笑)現場に入る前は自分が演じるっていうことが実感できなかったんですが、フィッティングのときにワダさんの衣裳に袖を通して、演じることが実感できました。

◆演技について
村上:設定が、物も情報もシンプルな時代なので、そういう時代には何を考えてどう生きていたかということをイメージするようにしました。最初脚本をいただいた時は、まだ源三は僕の年齢より上の設定で、トイチと中年二人ということだったんですが、僕が源三をやることになって、口調が変わるかなと思ったら変わりませんでした。

オダギリ:脚本を書いている時、(主人公に)自分をあてて書いてたんです。源三が柄本さんくらいの年齢。だから中年二人と(村上に)言われて、ちょっとショックです!

私も虹郎くんの「中年」発言には即、それはないでしょ!と思ったが、まあ彼の年齢からすればオダギリは中年には違いない。それでもオダギリほど中年という響きから遠い人もいないだろう。

◆ヴェネツィア国際映画祭での反応について
オダギリ:反応めちゃめちゃよかったですよね(と、キャストたちに問いかけるが無反応なので)あれぇ〜(笑)あまりに反応の良さに恐縮しちゃいました。でもエンドロールが始まったときから拍手なんですよ。エンドロールはしっかり作ったので、本当はエンドロールまでしっかり観てから拍手してほしかったですね。会場はここ(武蔵野館)もチェックしに来ました。キノシネマも立川と横浜行きました。

◆多くの映画祭に呼ばれているという件について
オダギリ:(最初は釜山?と聞かれて)その前に実はエジプト(エル・グーナ映画祭)に行きそうなんです。でも時効警察の打上げの次の日に飛行機に乗らなきゃいけないんで、打上げの具合によって行けないかもしれない(笑)皆で分け合って行けるとこ行ってもらいたいです。
(川島に)エジプト僕が行けるかどうかわかんないから行く?(笑)


ここで、クリストファー・ドイルが公開初日によせたビデオメッセージ(https://youtu.be/MW0R3j7jhew)が流れる。背後の幕が開き、登壇者は左右の壁際に移動。オダギリはスクリーン向かって右手に、横顔が素敵!
オダギリ:もっと冗談ぶっこんでくるのかなと思ったけれど、ちゃんと喋ってましたね(笑)クリスからメールをもらって感激したんですけれど「『ある船頭の話』は我々の2本目の作品だ。あと30本は一緒に作りたい」っていうんですよ。お洒落でしょう?外人ぽいでしょう?(笑)

そしてマスコミによるフォトセッション。ムービーカメラに手を振ってと言われたけれども、やっぱりオダギリはニコニコするだけで手を振らない。その後10秒だけ観客にも撮影時間が与えられた。席が後方だったので、頑張ったけれど、これが限界。

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◆シメの挨拶
柄本:オダギリ監督の志の高い映画です。
オダギリ:あのクリスのコメントでも言ってもらってたように、クリスの画はでっかい画面で見てもらった方がいいし、音にこだわったので、ここのように音の良いところで観てほしいです。DVD発売しても買わなくていいです。配信が始まっても見なくてもいいです。劇場で観てくださるよう、周囲の方に伝えてください。

確かに完成披露試写会のときよりオダギリはリラックスしているようで、終始笑顔だった。オダギリ監督のクオリティーの高い作品が一般公開されることに、ああずっと応援したきて良かったと心から思い、今回の上映ではエンドロールが涙で滲んだ。

以下は劇場内に展示してあるワダエミさんによる衣裳。このそばにワダさんが座っていらしたから感慨もひとしお。

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(2019/9/13 新宿武蔵野館にて)


『ある船頭の話』初日舞台挨拶関連報道(Web)まとめ

昨日の初日舞台挨拶関連の報道をまとめておく。

・オダギリジョー「時効警察」打ち上げに戦々恐々! 翌日エジプトに「行けないかも」(映画.com)

・過酷なオダギリジョー初監督作「死人出ず良かった」(日刊スポーツ)

・オダギリジョー「反応の良さに恐縮しちゃった」 初の長編監督作が今夏ベネチア映画祭に出品(スポニチ)

・「ある船頭の話」オダギリジョー、クリストファー・ドイルとのコラボは「あと30本」(映画ナタリー)

・オダギリジョー、監督作に本気の呼びかけ「音のいい劇場で」(シネマトゥデイ)

・オダギリジョー「あまりの反応のよさに恐縮」ベネチア国際映画祭で手応え
(サンスポ)

・オダギリジョー、国際映画祭に引っ張りだこ 長編初監督「ある船頭の話」(中スポ/東京中日スポーツ)

・釜山映画祭など世界の映画祭続々決定!オダギリジョーの長編映画初監督作『ある船頭の話』初日!撮影のクリストファー・ドイルからも祝福メッセージ!(cinefil)

・オダギリジョー、『時効警察』の打ち上げで海外行けず!?「盛り上がり次第」(AbemaTIMES)

・オダギリジョー監督、クリストファー・ドイル撮影監督から祝福Vに感動!『ある船頭の話』初日舞台挨拶(映画情報どっとこむ)


(随時更新)

舞台挨拶の途中で流れたクリスからのコメントは以下の動画で。
・オダギリジョー監督『ある船頭の話』クリストファー・ドイル初日のお祝いコメント動画(Youtube)

『ある船頭の話』外国特派員協会記者会見関連報道(まとめ)

ヴェネツィア国際映画祭関連の報道はあまりにも多すぎて、もう捌ききれなくなってしまったが、帰国直後のおこなわれた外国特派員協会でのスクリーニングと記者会見に関する報道だけはまとめておこう。報道は多いように見えるが、外国特派員協会から出されたオフィシャルなレポをそれぞれのメディアが脚色したものが多い。


・オダギリジョーが「ある船頭の話」製作理由明かす「残された時間を改めて考えた」(映画ナタリー)

・オダギリ ジョー監督がヴェネチアから凱旋帰国後の初会見!「柄本さんに芝居をつけるのは野暮でしょ(笑)」『ある船頭の話』外国特派員協会記者会見(Astage)

・オダギリジョー、健康診断で長編初監督を決意「残された自分の時間を考えた」(映画.com)

・オダギリジョー、初監督の壁は「俳優」の自分 挑戦理由で意味深発言も…(Oricon News)

・オダギリ、長編初監督作品がベネチア映画祭に出品(日刊スポーツ)

・オダギリジョー、初の長編監督挑戦の理由は? 「健康診断を受けた時にあまり結果が良くなくて…」
(スポーツ報知)

・オダギリジョー監督「劇場で観ないとこのよさは伝わらない」長編初監督作『ある船頭の話』に自信(TOKYO HEADLINE)

・『ある船頭の話』外国特派員協会記者会見オフィシャルレポート(EnterJam)

・オダギリジョー監督「“俳優”というフィルターがつきまとっても、映画を撮りたかった」『ある船頭の話』(ムビッチ)

・オダギリジョー、自身初監督作『ある船頭の話』に「絶対に出たくなかった(笑)」と語るその理由とは…?(エンタメステーション)

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