登壇者:オダギリジョー監督

昨日2度目の舞台挨拶立川は時間的に無理なので、武蔵野館のあと、横浜みなとみらいの15:40分の回上映後の舞台挨拶に行った。ここは初めての劇場だが、音響と映像の階調ともに素晴らしいところで、冒頭から画が違う!と大感激。新宿は地の利がよいけれど、立川やみなとみらいが近い方は、ぜひともキノシネマをお勧めしたい。

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今回のMCはキノフィルムズのアカバネさん。武蔵野館同様、Q & Aをたっぷり。最初のオダギリの挨拶は「2日ほど前に舌を噛みまして、お聞きづらいことになるかと思いますが、よろしくお願いします」だったが、質問が白熱してくると一生懸命喋ってくれて、聞きづらいことなど何もなかった。

Q:ポスターのイメージが黒と赤です。自分は映画を観てあまり黒と赤が浮かばなかったのですが、どうしてあの色になったのですか?
A:ぶっちゃけ、僕が好きなポスターに『欲望』(1967年ミケランジェロ・アントニオーニ監督)というのがあって、真っ赤なバックに白黒の写真で、白と赤より、黒と赤がカッコいい。普通の日本映画ってこんなポスターは許されないですよ、12人のキャストをバーンと並べて宣伝する、そういうポスターが多い中で、よくこのポスターを(宣伝部が)選んでくれたと。一緒に戦ってくれたというほど大袈裟じゃないですが、僕の我が儘を聞いてくれたということですね。(アカバネさん、大きく頷く)

Q:脚本の段階で自分自身が演じようとは思わなかったのですか?
A:あ、思いました、思いました。(この経緯は様々なメディアで語られているので割愛)

Q:クリストファー・ドイルさんが監督から指示されないシーンを撮っていて、それがよかったので使ったところもあるとお聞きしましたが、具体的なシーンは教えていただけるでしょうか?当ててみてもよいですか?
A:(質問者が挙げた2,3のシーンについて)ハズレです(笑)景色をよく撮ってくれていました。

Q:この劇場は音響がよくて、コントラバスが印象的ですが、楽器はどのように決めたのですか?
A:音楽の構成はほぼ100%ティグラン・ハマシアンで、僕は楽器について何も意見を出しませんでした。コントラバスはティグランの親友のマツナガさんです。

Q:熊本の船頭さんを取材なさったことについて。
A:インタビューの中で焼き味噌の話を聞いたんです。見たことも食べたこともないものだったので、メモっておきました。美術チームが調べてくれたら、ああいうものらしいと。焼き味噌は美術チームに丸投げでした。

Q:(物語の核心に迫る質問。オダギリはあっさりと答えてくれたが、さすがにこれはオフレコだろう)
A:自由に受け取ってもらいたいので、あまり外に(SNSなどに)出さないでください。

Q:なぜ脚本で自分を想定していたのが、柄本さんが演じることになったのですか?
A:まず自分が無理だよな、監督するだけで精一杯だろうしと思いました。柄本さんにした一番の理由は、すごくいい役者なんですが、一般的にそこまでいい役者だと思われてないんじゃないですか。いい脇役くらいにしか。すごい役者なんですが、テレビだと柄本さんの使い方が雑。映画の現場でドキッとするような演技を見せてくれる、それだけの力がある人です。(私もこの答えには深く賛同)

Q:題字が西川美和さんですが。
A:『さくらな人たち』で題字を初めて西川さんに書いてもらって、字のうまさを知っていたので、今回もお願いしたいと思って。西川さん大好きで尊敬しています。西川さんもすごく今回の作品を応援してくれていて、パンフに素敵なコメントを書いてくれました。お互いにビジネスに巻き込まれないようにしているタイプ。あの人が頑張っているからこっちも頑張れるという関係。

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こちらもオフレコにすべきやり取りが多かったが、オダギリも楽しそうで素晴らしい時間だった。そして最後の質問の答えが長引いて時間が足りなくなったので、オダギリが答えている間に15秒の撮影タイムが許された。座席が後ろの端っこだったので、武蔵野館ほどちゃんと写せなかったが満足。いろいろ気を遣ってくださったアカバネさん、ありがとうございました!


(2019.9.21 キノシネマみなとみらい スクリーン3にて)