ODAGIRIENNE bis

オダギリジョーに魅せられて

Webドラマ

ODAGIRIENNE(オダギリエンヌ)とはフランス語で「オダギリ専門家、研究家、ファンの女性」という意味である。フランス語の読み方の規則に従えば、このスペルだと実は「オダジリエンヌ」という発音になってしまい、オダギリエンヌと読ませるためには、ODAGUIRIENNEにしないといけないのだが、そのへんはODAGIRIのスペルを崩したくないということで勘弁してもらおう。

『僕の手を売ります』丸9~丸10

丸 9 しいたけ番長
丸10 人生の遍路道

あっけなく最終話を迎えてしまった。配信もやっぱり週に1話くらいにしてもらわないと、楽しみが長く続かない。かといって、例えば一挙に配信された3話を自分で3週に分けて視聴するなどというやり方もうまくはいかない。1週間後には次の3話が来てしまうし、SNSあたりも3話分のネタバレがどんどん投稿されるからだ。やっぱりテレビ放送のほうが良いと思うのは、もう時代遅れなのだろうけれど。

9話の冒頭の北郎の鼻歌。聴いたことのあるメロディーのような、そうではないような。歌詞もわざと判然としない風に歌っているように聞こえる。私がわからないだけかな。

今更のようだが、登場人物のロングショットが結構多い。その土地土地の特徴がわかるようなカメラの引き具合が、ロードムービーらしさを醸し出す。

北郎の旅先での朝食はいつもそこそこリッチだ。冷えたものを食べない。9話ではブロッコリー、筍、ニンジンの入ったスープ(?)とホットサンドを作っていた。以前出て来たホットドッグも、普通屋外で食べるのにわざわざウィンナをボイルしないよね、と思いながら見ていたが、それが実に北郎らしいと思えるように我々は誘導されている。着る物は作業着でも、車の中はガラクタだらけでも、仕事は3Kが多くとも、北郎は精神貴族とでも言おうか、味気ない手抜きはしない人なのだ。

洋平が家から自分の車で出ようとすると、北郎のバンが邪魔をしていて出られない。「どけよ」という意味で手を横に払うと、ボーッと考え事をしていた北郎は、反射的に洋平の車のフロントガラスを拭き始める。考えるより先に身体が動いてしまうようだ。プロアルバイターの悲しい性と言えるだろうが、ここが面白かった。

佐伯を見つけて車で追いかけるシーンで気づいた。オダギリは本当に運転しているシーンが結構あるのではないか?普通俳優さんが乗った車は牽引して、運転しているようなふりだけしてもらってカメラを回すことが多いと思うのだが、このシーンでは明らかに車全体が映ったので、牽引ではなかった。こういうところのメイキングを見たいなあ。

この回の白眉は、佐伯と北郎との電動ドライバー対決だ。電動ドライバーは触ったことがないけれど、LEDライトがつくと、ちょっと近未来の武器のようでカッコいい!二人ともガンマンよろしく構えるスピードが速いこと!でも佐伯が亡くなってしまうとは意外だった。しいたけ、美味しそうだったのになあ。嫌いな人には身震いしそうなシーンだろうけれど。

旅館の入り口にテントが張られているのを見て洋平が「旅館の前で野宿って、どういうつもりなんすかね」といっちょ前なことを言うのが可笑しい。お前が言うな!とツッコみたくなる。

偶然再会したみちると洋平と北郎という不思議な三人が同じ部屋で寝るのも可笑しいけれど、誰が寝るときに電気を消すかでジャンケンというのも更に可笑しい。修学旅行か!

横須賀の佐伯姉妹は最後までしたたかだった。北郎が示談金を催促すると「今日じゃない、今日は葬式だから」と言い、じゃあ香典をもらって行きますと言うと「それ泥棒だから。警察呼ぶから」といけしゃあしゃあと言い放つ。マジむかつくという類いの人物造型だ。

まったくもってひょんな事から北郎の借金はチャラになり、それどころか竹光幸枝が口止め料として100万円の束をバッサバッサと北郎に押しつける。7, 8百万はあったかな?

町田に帰ってきた北郎は本当に嬉しそうだ。雅美に何と報告するつもりかと、ワクワクして待っていたら、「雅美ちゃん、僕さ、貯金ができたよ」だって。これ以上素晴らしい言い方ってあるだろうか。「借金返し終わったよ」じゃないんだ!北郎の顔を見て雅美も幸福感を感じる。「丸子、パパがさ、お金持ちになったんだって」と雅美に言われた丸子は、「そうなの?じゃあ何かおいしいもんでも食べに行く?」とニコニコして車に乗り込む。ああ、いい家族だなあ。素敵なエンディングをありがとうございました!

借金がなくなった北郎だけれど、続編はどういう設定になるのだろう。ともあれ実現することを願って。

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『僕の手を売ります』丸7~丸8

丸7 公務員浪人
丸8 僕の奥さんの伯父さん

忙しい時期と重なり、なかなか配信を見る時間が取れなかったのだが、間もなく9話が配信になってしまうので、焦って7, 8話を見た。

7話が始まると景色は春。この時期に桜の風景を見ると和む。彩度を妙に高くしない映像が気持ち良い。桜ってそんなにピンクじゃないのに、誰もが脳内でピンクをイメージするので、ついつい画像や映像も彩度を高くすることが多いように思うが、本当の色のソメイヨシノの咲く中をオークワのバンが行くのが実に素敵だ。

7話は今までより更に会話のテンポ感が良いなと思う。どんどん挟まる脱力系のエピソードが面白くて、今までで一番笑えるシーンが多かったように思う。それに今回のお仕事系シーンも面白いものが多かった。

ポータブルバッテリーを車から出して何をするのかと思ったら、道端に廃棄されている洗濯機がまだ動くかどうかテストするためだった。これだけで何だかもう可笑しい。それをきっかけとして北郎が公務員浪人の男と知り合いになる。うまい導入だなと思う。

北郎は偏見や差別主義とは無縁の男だ。篤史がコミュ障気味でも何も不思議に思わないし、とくに気を遣ったりもしない。若者にアドバイスするのもまったく押しつけがましくなく、パワハラとも無縁だ。その代わり、無礼な振る舞いには思いっきり嫌そうな顔をする。

木工所での塔婆作りは初めて見たので、本当にこんな風に作るのかととても面白かった。大量のカンナ屑がフカフカで気持ちよさそう。完成した卒塔婆を寺に届け、帰り際にお詣りも忘れない北郎は本当に人間が出来ている。本人曰く「スプラッターとかバイオレンスとかに耐性がない」そうだが、ひたすら優しい人なのか。

オダギリは実際にギックリ腰になったそうだが、エピソードのギックリ腰はオダギリの腰に合わせて脚本が変わったのだろうか。丸子の結婚式にはバージンロードで骨壺を持って、のくだりが大笑いだ。そこ膨らませてほしいなあ!

8話では、北郎は腰が悪いので助手を雇う(と言ってもバイト代は払っているのか?)が、竹光洋平(金貸しの息子)はどう見ても役に立たなそうだし、気配り心配りということの一切出来ない若者だ。しかも、なぜこうしなければいけないのか、なぜこうしてはいけないのかという基本的な道徳観念が欠如している。悪人でないところがかえって不愉快極まりない。絶妙にイラつく登場人物と言えよう。お茶を投げ返されても意味がわからないのだろうなあ。

7話の床屋といい、8話の松夫(北郎の義父)といい、老人を描く冨永監督の目は鋭いなと思う。床屋の日野は短期記憶が怪しく、おそらく認知症の初期なのだろう。松夫にしても、駐車場から切り返して車を出すときは運転が危なっかしく、これじゃアクセルとブレーキも踏み間違えることがあっても不思議ではないと思ってしまう。

丸子の賢さにはびっくりする。買い取り業者の店で、なぜ猫の鳴き声を流したんだろうと一瞬不思議に思ったが、そうか、本物の松夫なら猫アレルギーだから、あんな反応はしないという判断材料だった。だから、8話最後の、自宅に松夫が竹夫のことで謝りに来たとき、雅美に会った途端アレルギーを発症して逃げ帰るのを見て、丸子がひとこと「おじいちゃんだ」とニッコリするシーンが実に生きている。雅美が自分にコロコロをかけながら、松夫を追いかけるエンディングも大笑いだ。

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『僕の手を売ります』丸4〜丸6

丸4 土木屋の妻
丸5 マルセのオークワ物語
丸6 誤報

『サタデー・フィクション』公開、TV出演、ライフタイムブルースと、突然の露出量にあたふたしているうちに、『僕の手を売ります』も4話から6話が配信になった。最初の3話は導入的な意味合いがあったから、何か散漫で落ち着きがないという印象だったのだが、4話にきて落ち着いてきた感じがある。

北郎は何ごともそつなくこなすが、とりたてて器用というわけではないようだ。上手くも下手でもなく、人並みというところか。ただ、何でも嫌がらず(嫌な顔をする時はあるが)取り組むところが常人とは少し違っている。一生懸命働く目的は借金を返すためだが、お金のために何かを犠牲にすることはなく、ごく自然な生き方をしているように見える。結婚に至った経緯も何だか不思議な成り行きなのだが、あれはやっぱり恋愛結婚なのだろうなあと思う。北郎の旧姓はマルセだったのか!大桑の名字になることが結婚の唯一の条件だったようだが、自分の姓の一部を残そうと、娘には丸子という名前をつけたということなのだろうか。

話の肝となる借金。毎話のエピソードはほのぼのとしているが、竹光幸枝(松田美由紀)のキャラが濃すぎて、ストーリーなど霞んでしまい、見終わってもあまり内容が記憶に残らない。オークワのワゴン車が走るバックの景色(街でも田舎でも)がのんびりしていていいなあと思うくらいだ。

(Amazonプライムにて)

『僕の手を売ります』丸1〜丸3視聴

丸1 鳥と土偶のオークワ
丸2 横須賀の姉妹スナック
丸3 僕たち非常勤
Behind the scene(短尺版)

配信が始まった。ロードムービーだけれども、まず設定からしてしょっちゅう自宅に戻るところが面白い。多額の借金を抱えているが、北郎は不幸せそうでもないし、さほど切羽詰まった様子でもない。でも仕事は一生懸命する。自分の手を売る仕事をするのが心から好きなようだ。今のところ緩くてぬるい深夜テイストのドラマという印象。その代わり、ディテールが凝っている。北郎が乗っている車はオープニング映像として毎回映るが、積んでいる荷物を見るだけで飽きない。車の中に吊してあるものが揺れ、OP曲が始まる。このあたりは『珈琲いかがでしょう』のオープニングを見ている気分になる。ロケーションがどんどん変わるのはロードムービーならではの楽しみだ。

1から3話を見てまず思ったのは、鳥と土偶という発想はどこから出てきたのだろうということ。冨永監督はオオサンショウウオなど不思議なものが好きだから、自然に監督の中から出てきたテーマなのだろうか。丸子の部屋にあった「日本土偶年表」は実在するものだった。図版制作をなさっているXユーザーさんの作品らしい。

次に、第1話、第2話…の数え方が「丸1」「丸2」となっているのは、どういう由来だろう?丸子と関係ある?丸囲み数字を「まるいち」などと呼ぶから、それと同じ?

雅美も丸子も衣装からしてアクが強い。雅美はこれまでの役で一番はっちゃけているかも?

「鳥と土偶のオークワ」に登場した二人の高校生。その脱力具合がいかにもなので、私はあまり好きになれない。わけもわからないくせに、余計なことをしてしまう人間って(自分を含めて)腹が立つ。ただ、「密猟者」というタイトルの写真は良く撮れていた。もちろん実際にはプロが写したのだろうが。カメラがNikonだったのも親近感!

こんなに色々な仕事をする役だと、オダギリも準備が大変そうだ。メイキングで投網の練習をしていたが、本番ではちゃんと円を描いて水面に落ちていたね。

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オダギリ×冨永昌敬監督のドラマ『僕の手を売ります』10月27日配信開始

今年の春頃の情報で、冨永監督作品のドラマに主演し、作品は配信されるということはわかっていたが、ようやく全貌が明らかになった。オダギリが企画段階からプロデューサーとしても参加した作品だそうなので、大変楽しみだ。全国各地を回るという設定なので、実際に様々な地方でロケを行ったのだろうか。

尾野真千子さんとは何回目の夫婦役だろう?『おかしの家』『茜色に焼かれる』をパッと思い出すけれど、他にもあったかな?當真あみさんが娘役だそうで、オダギリはもう16歳の女の子の父親役をやるようになったのかと感慨深い。色々な職業をこなすので、衣装も様々だろうからこれもちょっと楽しみ。でも基本的には小汚い系のオダギリかな。毎話のゲストが楽しそう。

・オダギリジョー主演&プロデュース「僕の手を売ります」配信決定 尾野真千子・當真あみら共演者も解禁(モデルプレス)

・オダギリジョー×冨永昌敬のドラマ「僕の手を売ります」配信、妻役に尾野真千子(映画ナタリー)

・オダギリジョーが主演&プロデュース、借金返済&家族のために全国各地でバイトするオリジナルドラマ【コメントあり】 (Oricon News)

・オダギリジョー主演『僕の手を売ります』FOD、Prime Videoで配信!(フジテレビュー)

・【フジテレビ】オダギリジョー(主演・プロデューサー)、冨永昌敬(脚本・監督)が共同制作!主人公が借金返済のため、家族のため全国各地でアルバイト!? ドラマ『僕の手を売ります』(フジテレビ )


・オダギリジョー主演&プロデュースドラマ『僕の手を売ります』10.27配信 共演に尾野真千子、當真あみら(クランクイン!)



【配信スケジュール】
  FOD/Prime Videoにて
 2023年10月27日(金)0時配信開始
#1~#3     10月27日(金)0時配信 (#1無料)
#4~#6     11月3日(金)0時配信
#7~#8     11月10日(金)0時配信
#9~#10    11月17日(金)0時配信

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